57577 Bad Request

故障中のエレベーターで旅をする

池は玄関の横手にある。広さは二坪ほど、浅くて四角い菓子折りみたいなものだ。

(「田紳有楽」藤枝静男

 

ブルー・シティにはみんないなかった。手足が子供だましみたいな人形も今日はいない(人形は心の中ですべてを済ませるから、手足はいらないのだ、本当は頭だって)。そこでここぞとばかりゆっくりと散歩していると、飛ばされてきた大きな葉っぱが顔を覆い、その匂いについて何かしら私は思ったはずだと思う。だけど記憶にないのは、ここがまだ同じブルー・シティだからじゃないだろうか。終わらなければ思い出せないことはあるのだ。ティッシュが雨を吸ってふくらんでしまって、絵本の中の雲のようだった。昨日は大丈夫だった? 電話で姉と話していると、たくさんの蝶の死骸が水たまりに浮いているのが見える。電話を切ってから、今度は私は蝶に電話をかけた。