57577 Bad Request

故障中のエレベーターで旅をする

2019-10-01から1ヶ月間の記事一覧

建物には内側しかない

「でも、狂ったひとのとこへなんて行きたくないわ」とアリス。 「いや、そういうわけにはいかんね。このへんじゃ、だれでも狂ってるんだ。おれも狂ってるし、あんたも狂ってる」 (『不思議の国のアリス』ルイス・キャロル 矢川澄子訳) 建物というのはどれ…

未来

百年で変わる言葉で書くゆえに葉書は届く盗まれもせず/我妻俊樹 『誌上歌集 足の踏み場、象の墓場』 わたしが一度でも心で考えたり味わったことのあるものを歌にうつすと、それを歌も考えているように見えるが、その考えはわたしの考えなので、わたしが歌を…

鑑賞することは制作と同じように興奮して疲れる。他人の作品を観ながら、自分の頭の中では対象をなぞりながら描いているからだ。 (『人工庭園』横尾忠則) 短歌を読むことは、暗闇で建物の中を歩くことのようだ。文字は頭の中に響く声である。ドアを開けて…

鏡の人生

すると、鏡がこたえた。 后よ、あなただ。 しかし、七つの山むこう、 七人の小人の家にいる白雪姫が、 もっときれい。 (「白雪姫」ヤーコプ・グリム ヴィルヘルム・グリム 池内紀訳) 映画「カリガリ博士」は1920年の制作。つまり「カリガリ博士」がつくら…

戦争

カリガリといい、ユビュといい、これら無意味な人物の名前は、いずれも時代精神と不可分のものであり、戦争や独裁政治の世紀を背景として、はじめて一つの意味をおびてくるようなネガティヴな名なのである。 (「カリガリ博士あるいは精神分析のイロニー」澁…

バナナ

終了後、舞台の電気を消しにマネージャーが出て来たので、三人で舞台の端に坐りバナナを食べた。彼女は「王と長嶋はどうだったの」と野球の結果を気にしていた。 (「蒸発旅日記」つげ義春) 包帯とセロテープで自分が作れる、という話を友達にした。友達は…

池は玄関の横手にある。広さは二坪ほど、浅くて四角い菓子折りみたいなものだ。 (「田紳有楽」藤枝静男) ブルー・シティにはみんないなかった。手足が子供だましみたいな人形も今日はいない(人形は心の中ですべてを済ませるから、手足はいらないのだ、本…