57577 Bad Request

故障中のエレベーターで旅をする

有罪はあかるく、無罪は暗い

最初の一枚をひろげた。旅行家は賛辞を呈するのにやぶさかでないつもりだったが、紙の上には迷路じみたものがあるだけだった。いくえにももつれあった線がびっしりと紙面をうめていて、白い余白をみつけだすのさえひと苦労というものだった。

(「流刑地にて」フランツ・カフカ 池内紀訳)

 

そのなかの誰が有罪であり、誰が無罪であるかを景色を見渡した瞬時にわかってしまうことがわたし(たち)にはしばしばある。この驚嘆に値する「超能力」は日本語がそのもっとも親しい友人である我々に気前よく貸し与えてくれたものだろうと思う。そしておそらくかの「推定無罪」の原則とやらもまた、我々とはまるで異なる言語のうちにおのずと発見されとぎすまされてきた一種の「超能力」の別名なのだろう。