57577 Bad Request

故障中のエレベーターで旅をする

家の中の立体と、家の外の平面

歩行者用押ボタン式信号の青の男の五歩先に月/斉藤斎藤

『渡辺のわたし』

 

月や太陽はもちろん、星にせよ雲にせよ鳥や飛行機にせよ、青や橙色や灰色、藍色や黒に染まった空の色彩そのものにせよ、空に存在するものはわたしたちに割り込んでくる。空というのはわたしたちの世界にくりぬかれた窓のことだ。窓は、そこから覗き見るものを一緒くたにして、一枚の画面のうちに並べてしまう。家の中の立体と、家の外の平面。そのようにして本当の大小を窓枠越しに逆転させること。わたしたちの意識はこのくり返しのうちにつねに閉じ込められている。
この話の続きとしていつかきっと、短歌についてとても興味深い話ができるはずだ……。