57577 Bad Request

故障中のエレベーターで旅をする

革命はテーブルの上に

鉄棒の上に座って口喧嘩 くるんとぶら下がって口づけ/穂村弘

『ドライ ドライ アイス』

 

上下のあるものは回転する。革命は必ず起きる。ただし、増えすぎた下が数の力で上を追い落とすのではない。重力のあるこの世で、下が増えることはそのピラミッドに安定だけをもたらすだろう。つまり、増えすぎた上が自らの重みに耐えきれず傾き墜落してきたときにのみ、回転は、革命は成し遂げられるのだ。

革命は、食べきれないほど料理を盛りつけた皿のひしめきあうテーブルにこそ訪れる。万国の労働者よ、おのおのが空腹のうちに想像したとびきりのご馳走になりすまし、大小無数の皿を暴力的に占拠せよ。身を焼かれ、蒸され、漬けられ、茹でられソースを浴び発酵し燻煙をくぐった魂でテーブルを這い上がれ。皿の上の先客どもをたらふく胃袋に収めた自らのあらたな重さで天板を踏み割り、もろともに、歓喜とともに、すべてをあのなつかしくもほの暗い、床の世界へとにぎやかにぶちまけるために。