57577 Bad Request

故障中のエレベーターで旅をする

塔がみていた

京都タワーの案内看板
の矢印を逆にたどれば
第二京都タワー
辿りつけるはずよ

(「イノセントワールド」panpanya

 

うちの近所の坂の上から、スカイツリーの先端部分が少しだけみえるらしい。天候のせいかまだはっきりとは視認できていないけれど、写真を撮ってアップしている人がネットに何人もいるから事実なのだろう。
私の住んでいる場所は都内だが、東京のはずれ、というのはいくつもあるにせよ、そのうちのひとつであり隣県を侵食するようなかたちをした土地だ。スカイツリーとは縁もゆかりもなく、どちらかというと都内でも反対側に位置するという印象。だからあの巨大建造物のたとえ先端だけでもみえることは、驚きでもあるし、何か怖いような不気味な感情も湧いてくる。実際は意外と直線距離が近いことがわかったし、東京という都市がそれだけ小さいという話でもあるのだが。
巨大なものはそもそも怖いし不気味である。巨大なものは巨大なものどうしで会話しているのがわかる。もちろん声が聞こえるわけではないが、何も聞こえないことも含めて「我々のようなちっぽけな存在には理解できない言葉」がかわされている証拠に思えてしまう。
たぶんわたしは「あのスカイツリーに見張られていた」ことに気づいて動揺したわけではない。どうみてもあれは「わたしたちの神」などではないからだ。ああいうものに地平線越し見守られるべき何かが身近にある可能性に今頃気づいて、自分の迂闊さにひやっとしたのだと思う。